H23年 企業経営理論 第1問
■問題
ドメインは全社レベルと事業レベルに分けて考えられるが、ドメインの定義ならびに再定義に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
(ア) D.エーベル(Abell)の「顧客層」「顧客機能」「技術」という3次元による事業ドメインの定義では、各次元の「広がり」と「差別化」によってドメインの再定義の選択ができる。
(イ) 事業ドメインは将来の事業展開をにらんだ研究開発分野のように、企業の活動の成果が外部からは見えず、潜在的な状態にとどまっている範囲も指す。
(ウ) 自社の製品ラインの範囲で示すような事業ドメインの物理的定義では、事業領域や範囲が狭くなってT.レビット(Levitt)のいう「近視眼的」な定義に陥ってしまうことがしばしば起こる。
(エ) 全社ドメインの定義によって企業の基本的な性格を確立できるが、製品やサービスで競争者と競う範囲は特定できない。
(オ) 単一事業を営む場合には製品ラインの広狭にかかわらず事業レベルの定義がそのまま全社レベルの定義となるが、企業環境が変化するためにドメインも一定不変ではない。
■回答
× エ 全社ドメインの定義によって企業の基本的な性格を確立できるが、製品やサー ビスで競争者と競う範囲は特定できない。
■考察
ここでいうドメインは事業領域の事で、Googleでドメインと検索するとドメイン名の説明ばかり出てきます。なので、続いてGoogleで事業領域で検索してみると、2013/01/27現在パナソニック株式会社の事業領域が一番最初に出てきました。
ここで参考にパナソニック株式会社の事業領域を見てみると
パナソニックグループは、パナソニック株式会社及び連結子会社633社(2011年3月31日)を中心に構成され、総合エレクトロニクスメーカーとして関連する事業分野について国内外のグループ各社との緊密な連携のもとに、生産・販売・サービス活動を展開しています。
パナソニック株式会社のホームページより引用
となっています。
goo辞書によると
domain
企業が定めた自社の競争する領域・フィールドのこと。事業ドメインともいう。
企業はドメイン(事業ドメイン)の設定により、戦う領域を設定し、組織活動の指針とする。ドメインは、企業の方向性を示す上で、非常に重要な 意味を持つ。 例えば、ある鉄道会社がドメインを「鉄道事業」と定義した場合と「総合輸送事業」と定義した場合とでは、おのずと環境変化に対応する発想が変わってくる。 「鉄道事業」と定義した場合は、輸送手段の進歩あるいは他の輸送手段との競合に対し、鉄道という枠の中でのみ差別化して優位に立つことを模索する。 一方、「総合輸送事業」と定義した場合は、経営環境の変化に対し、鉄道以外の輸送手段にも参入することにより競争優位を確立することを考える。つまり、他 の輸送手段との競合を常に視野に入れた戦略を立てることになる。 ドメインを掲げることによって経営資源をフォーカスさせ、継続的に見ても経営資源を一貫して蓄積でき、組織全体として戦う方向性を定めることができる。 一方、ドメインを予め限定しないまま、多角化や買収を行って多様な事業分野に進出する企業もある。そういう状況においては、事業機会の拡大とともにドメイ ンは次第に拡大する傾向にある。
「またドメインは、事業ドメイン,事業領域とも言う」
goo辞書 「ドメイン」の意味より引用
この問題で「エ」が「最も不適切なもの」とされる理由は
『製品やサービスで競争者と競う範囲は特定できない』 と書かれているからだと思います。
パナソニック株式会社の事業領域を見ても
総合エレクトロニクスメーカーとして関連する事業分野について国内外のグループ各社との緊密な連携のもとに、生産・販売・サービス活動を展開しています。
と書かれていますし、goo辞書に至っては
戦う領域を設定し、組織活動の指針とする。
と記述、されていることからも『競う範囲は特定できない』のは記述として誤っていると思います。
ただ、『全社ドメインの定義によって企業の基本的な性格を確立できる』と書いていますが、ここでいう性格というのはどう定義されているのでしょうか。。。私個人としてはこの文面もちょっとグレーな文章だなと思いました。
ちなみに性格の意味もgoo辞書で調べてみました。
1 行動のしかたに現れる、その人に固有の感情・意志の傾向。「ほがらかな―」「夫婦 の―が合わない」2 特定の事物にきわだってみられる傾向。「二つの問題は―が異なる」「趣味的―の 濃い団体」
goo辞書より引用
仮にこの問題が、『全社ドメインの定義によって企業の基本的な性格を確立できる』で終わっていた場合は正解は「マル」なんですかねぇ。。。たぶん「マル」でいいんだろうけど微妙にしっくりこないです。
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