2013年4月7日日曜日

H23年 企業経営理論 第13問

H23年 企業経営理論 第13問

■問題

動機づけに関する概念モデルの1つに「職務特性モデル」がある。この概念モデルについての記述として、最も不適切なものはどれか。

(ア) 個人の動機づけは、仕事の業績評価システム、上司や先輩を通じてのフィードバックの程度に影響される。
(イ) 個人の動機づけは、仕事の出来栄えが社内の人々や顧客に、どれほどのインパクトをもたらすかの程度に影響される。

(ウ) 個人の動機づけは、仕事の流れの全体像にかかわっている程度に影響される。

(エ) 個人の動機づけは、仕事をうまく遂行する上で必要なスキル(技能)の多様性の程度に影響される。

(オ) 個人の動機づけは、担当する仕事の範囲で、自主的に工夫して仕事のやり方を決められる程度に影響される。



■解答

× (ア) 個人の動機づけは、仕事の業績評価システム、上司や先輩を通じてのフィードバックの程度に影響される。

■考察

職務特性モデルの概念について理解しているかを問う問題で、組織行動論、モチベーション理論などに絡む問題だと思います。

そもそも、モチベーション理論に関して詳しくないので、この問題がモチベーション理論のどのポイントについての問題なのかを確認するために、モチベーション理論から学習して考察したいと思います。

モチベーション理論

個々を行動に駆り立てるものは何なのか、また、どのようなプロセスで駆り立てられるのかに関する理論。 → いかにして組織目的と個人目的を結び付けていくかを研究したもの。

モチベーション理論について、以下のフレームに沿って確認していきたいと思います。このフレームは中小企業診断士2013年度版スピードテキスト企業経営理論(TAC株式会社発行)を元に一部加筆して作成しました。

職務特性モデルは内発的動機付け理論に属します。


内容理論

内容理論は理論間で関連があるようなので、図にまとめてみました。5レンジャーみたいになっていますが、人毎に色分けしています。


図には纏めませんでしたが、残るマクレランドの欲求理論は以下のような理論のようです。

「作業場における従業員には3つの主要な動機ないしは欲求が存在する」という理論で、この理論は、マズローの欲求段階説やアルダファーのERG理論のような階層構造を持たないようです。

3つの欲求は以下のような欲求です。
  1. 達成動機(欲求)(nAch : need for achievement)
    ある一定の標準に対して、達成し成功しようと努力する

  2. 権力動機(欲求)(nPow : need for power)
    他の人々に、何らかの働きかけがなければ起こらない行動をさせたいという欲求
  3. 親和動機(欲求)(nAff : need for affiliation)
    友好的かつ密接な対人関係を結びたい、という欲求
特に達成動機は後のコンピテンシー理論として大きく発展することになったようです。

特徴としては

達成動機を持つ人の人間観
責任感が強く、責任は個人に帰属させる傾向があり、中程度のリスクを好み、自分でコントロールが可能な範囲で動機付けが起こり、結果のフィードバックを強く望みます。

権力動機を持つ人の人間観
同じく責任感は強く、特に責任を与えられることそのものが動機付けになる→ジョブエンリッチメントが有効に働くようです。他者から指示されるより、指示する方を好みで、競争を好みます。

親和動機を持つ人の人間観
他者から好かれたい、よく見られたいという欲求があり、よい人間関係を作りたい傾向がある人です。

以上、「何によって動機付けられるか?」についてまとめましたが、十人十色という単語もあるように、自分が、または、他者が、どのような欲求に基づいて動機づけされているのか、もしくは、動機付けされるという受け身な立場ではなくどのようにすればやる気が出るか、という事についてはパターンや傾向こそあれ、全てを網羅するのはかなり難しいと思いました。

重要なのは、こういった理論を把握しつつ、相手の視点に立ち、どのような欲求を抱えているかを素早く理解できるようになることかと理解しました。

何によって動機付けされるかを学んだところで、続いて、「どうやって動機づけするか?」についてを説く、過程理論について確認していきたいと思います。


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